むぅちゃんの日記

ゆるゆるとオタ活してるむらかみの日記です

楽しいこと

最初はハマりたてのとある作品が舞台になっているから一緒に行かないかと友達に誘われたのが始まりだった。

こんなこと書く必要はないが、そもそもなんとなく2次元のものを3次元にするのが苦手だった。映画化舞台化問わず。実写化されるよって聞くと、「なんでやるの???」と半ギレで、できるだけその話題を避けてきた。

それなのに舞台に行こうと思ったのは、その作品がそもそもあまり人間っぽくなかったからだ。

二次創作というものがある。

私は作品にハマると大体支部で作品名で検索をかけて原作の供給を待っている間二次創作で食いつなぐ。さて、その二次創作だが、そもそもの原作が人間っぽく綺麗であればあるほど、二次創作界隈においても「原作に似て綺麗」であることが求められがちだと思う。逆に元がデフォルメがかっていたりすると、むしろ擬人化とさえ言いたくなるほどまで見た目の違うキャラクター達を二次創作よくみかけるようになる。その界隈では原作寄せは正解とはならない。

私は.5舞台というものは一種の二次創作だと思っている。だから多少の解釈違いとかも、目をつぶれる範囲ではそういうものだなと思って普通に楽しむし、無理なら離れるしかないだろう。(まあ巷に溢れている二次創作と違って、話の内容に責任を持ってもらくはあるが)

だからこそ、原作が綺麗で人間っぽいものでは、ビジュアルが原作と少しでも違うことが気になって仕方なかった。当たり前だが、俳優はコスプレイヤーではないので、見た目だけで言ったら趣味でやっているコスプレイヤーのほうが勝ることがあるだろう。そのクオリティで心の底から楽しめるのかわからなかったから、見たいとは一切思っていなかった。

それが、今回は原作が人間っぽくなかった。だから、二次創作としての舞台もなんでもありだな、という認識があったのだ。キービジュみても、「こんな感じになるのか」としか思わなかったし(しかしハマりたてなこともあって誰が誰だかわからなくて名前を調べながら顔と一致させた)、これならいけると思った。

前置きは長くなったが、そういうことで友達ととりあえず一つずつ先行に申し込んで、一つ落ちたので最初は一公演のみ行く予定だったのだ。

 

行ってみての感想は一切予想外だった。

「楽しめたらいいな」って思って行ったはずなのに、終わった後にはあまりの興奮で心拍数がなかなか下がらなかった。アンコールで手を叩いているときには、正直拍手よりも心音の音が大きいように感じた。普段運動していない心臓が変な音を立てていた。

人間ってすごい、そんな阿保みたいな気持ちでいっぱいだった。

舞台だからもちろんCGなんて存在しない。全部本当の、生身の人間がやっていることだった。それを思うと鳥肌が立った。私が見ているのは人間じゃあなくて、本当はアニメーションで作られているんじゃあないかとかそんなことまで思った。

ドラマとかでもCGなしのすごいアクションをみることはある。でもそれと違うのは、舞台は2時間1本で1発勝負だ。何公演もやるものはやるし、そういう意味では1発勝負ではないのかもしれないけれど、でも少なくとも、今観ている観客の前で演技をする回というのは一回限りで、もうどうしようもなく取り返せない。そんなことを、観ながらずっと考えていた。演者さんのほうがもっと、私よりもずっと、そのことは感じているのではないだろうかとも思うと、うっかり泣いてしまいそうなぐらい心が動かされた。

とってもとっても格好良くて、それを見ている間は心の底から楽しかった。ただ本当に楽しいだけのキラキラを集めた空間に2時間いられたんだって、劇場を出たときに思った。

見ているときにいかに楽しかったかを思い出すだけで、本当に楽しかった。嬉しいとか楽しいとか、ただそれだけの感情だけを持てたのは久しぶりのことだと思った。まだまだ全然生きていないけれど、もう最近そんな風に思えることは全然なかったのに、ただただ純粋に楽しいものに出会ってしまって処理できなかった。

 

そこからすぐに、同キャストの過去公演のDVDを買った。

過去公演をみたら、またもう一回見たくなった。

全然違う。もちろんDVDも十分楽しかった。でも、どうしてDVDを見て楽しい気持ちになれるのかって言ったら、この間観た公演が楽しかったことを観ると思い出すからだった。

次の週。いつもだったらバイトの日だったが、その週は予定があってバイトは休みにしていた。予定自体の終わり時間は早くて、場所も近かったから当日券をとりにいった。2回見ても楽しかった。

本当は少しだけ緊張していた。公演を見て以来、気が抜けたときに考えているのはそのことばかりだった。あまりにも楽しくて楽しくて仕方がなかったとしか覚えていなくて、当日券に並んでいるときに前に感じたキラキラは自分が美化した記憶なのではないかと思った。あるいは、2回目を観たら、知ってしまっている分だけ楽しい気持ちは薄れるんじゃあないかと不安になった。

でも、2回目も本当に楽しかった。席はもちろん先行で当てた1回目のほうがいい席で舞台との距離も近かったけれど、別に当日券だからといって舞台が見づらいということはなかった。

だから、次の日も当日券に並んだ。友達に声をかけてはみたものの、さすがに急なことだったので予定は空いておらず一人で行った。

その日は木曜日だった。友達は金曜日なら行けるといっていて、金曜日に行こうかなとも思ったが、金曜日は授業の関係で間に合わない可能性があった。もしそうなったとき、木曜日に行かなかったことを絶対に後悔すると思ったら、観劇の計画を立てて電車の時間を調べていた。

このときばかりは自分の住んでいる場所に感謝した。思い付きでふらりと劇場に行ける距離に住んでいてよかった。

3回目も楽しかった。とっても楽しかった。またもう1回みたかった。次の日の金曜日、一応授業が時間通りに終われば間に合う計算だったが、よく長引く授業だったので行けるかどうかは半々だった。観に行きたくて授業の途中から胸が痛かった。

授業が終わってすぐに飛び出して、何とか間に合った。4回目は今までの中で一番悪い席で少し見えづらいところも多かったが、それでもどうしようもなく楽しくて、その日は来ていた友達と一緒に帰りながらずっと舞台のことを喋っていた。

結局、期間中4回観に行った。最初は1回の予定だったのに、最後3日間は3日連続で通った。3日間とは言え、毎日行っていたせいで、もう見ることができない実感が湧かなかった。次の日も、同じ時間になったら同じ劇場にいる気がしていたし、そこに自分がいないことに気が付いて泣きたくなった。

 

3日間、そこそこ無理をした。

家に着くのは終電近かった。レポートを木曜日と金曜日に提出しなければならなかったので、終電近くに帰ってからレポートを仕上げた。睡眠時間は3時間程度しか確保できないで、少しふらつきながら学校に行った。そのせいでずっと頭が痛かったし、目は重かった。そのことで舞台に少しでも集中できていない時間があったことが、悔しかった。

でもあの3日間は恐ろしく楽しかった。夢のような時間だった。

給料日に入ってきたお金は、この3日間と、そのあと買い集めた過去のDVDに全部消えた。今まで買おうと思っていたものは全部後回しにして、ブロマイドを買った。

 

ちっぽけな人生だけれども、確実にあの公演をみたことによって人生が変わったと思った。

今は、あれだけ好きだったアニメを見るより過去のDVDを見るほうが楽しい。買ってあった漫画も積んであるだけで、しばらく手を付けていない。手を付けられない。

このまま自分がどうなるのかは今のところ全くわからない。

1度観たときにはこんな風になる予定ではなかったし、2度観たときにも自分がこんな風になるとは思ってもみなかった。

 

演者さんたちのことも、毎日ツイッターでマメにチェックするようになった。

ツイートしているのをみたら、ひたすらいいねを付けていっているのを、友人らからは気持ち悪いとすら言われるようになった。

でも、毎日それをしているときが楽しくて仕方がない。

今度、新しく舞台に出ると聞いたのでとりあえずチケットをとった。弱いオタクだから、1公演しか入れないけれど、でもまたきっとそれはとっても楽しいのだろうなと思って。今、目標にできる楽しみはそれだけだ。

それまでの間は、過去のDVDをまたみよう。